MPN のメリットを最大化する「クラウド消費計測」の設定方法

マイクロソフトが提供するクラウドサービスは、お客様へのクラウドの消費に応じて、マイクロソフトの提供するプログラム内でのパートナー様のメンバーシップレベルも変動し、様々なメリットを獲得していただくことができます。
ただ、お客様のクラウド消費をパートナーさまの成果と結びつけるには、その計測を行うための初期設定を行う必要があります。
MPNにご参加いただいているパートナー様で、まだ計測設定を行っていない場合はできる限り早めの着手をおすすめします。
主な設定方法は3つあり、提供サービスやパートナー様の状況によって適切な手段を選んでいただけます。
この記事では、ランク上昇に関わるクラウドの利用を正確に計測するため、その3つの方法を具体例を交えて解説します。各方法のメリット・デメリットを正しく理解し、各パートナー様に最適な手段を選択していただけます。
<INDEX>
●お客様のクラウド消費とパートナー様の成果を紐付ける3つの方法
2. CPOR (Claiming Partner of Record)
3. DPOR (Digital Partner of Record)
パートナー様がクラウド消費の計測設定をするべき理由
MPNに加入いただいたパートナー様には、主に Microsoft 365 や Dynamics 365 、 Microsoft Azure などのクラウドサービスの販売やソリューションの構築、管理の支援などを行っていただきます。
MPN では、パートナー様のマイクロソフトへの貢献度合いが高まるにつれて、提供する特典も手厚くなっていきます。マイクロソフトとの販売連携や技術スキルの習得支援、マイクロソフト製品の特別ライセンスの提供など、パートナー様のビジネス強化につながる特典を多数用意しており、結果的にその先のお客様に対して、より良い価値を提供することができるようになります。
ただ、冒頭でも記載したとおり、パートナー様の貢献度合いを評価し、 MPN メンバーシップのランクを高めていくためには、パートナー様のお客様がどれだけクラウドサービスを活用しているかがわかるよう、顧客のクラウド消費をパートナーさまのアカウントへ紐付ける設定が必要です。
設定が必要なのは初回のみで、設定後はレポートの確認を行っていただけます。ぜひお客様とご協力いただきながら初期設定を完了し、パートナー様の貢献度を正確に計測できる環境を構築しましょう。
MPNの全体概要についてはコチラ
クラウド消費とパートナー様の成果を紐付ける3つの方法

実際に、お客様のクラウド消費とパートナー様の成果を紐付けるには、どのような設定を行えばいいのかをお伝えします。
この設定方法は、主に以下の3つから選択できます。
1. PAL (Partner Admin. Link)
2. CPOR (Claiming Partner of Record)
3. DPOR (Digital Partner of Record)
各設定方法について詳しくお伝えする前に、マイクロソフトの製品群の構造について触れておきたいと思います。
パートナー様ごとのマイクロソフト製品のお客様アカウント直下にテナント、その下に契約されているサブスクリプションが紐づく、という構造となっています。

今回ご紹介するクラウド消費の測定方法のうち、テナント単位で設定するのがPAL、サブスクリプションごとに設定するのがCPOR、DPORとなります。
1. PAL(Partner Admin. Link)
PAL は Azure を導入いただいている場合のみ利用できる設定方法です。お客様が自社のテナントの操作権限をパートナー様に許諾されている場合にオススメの方法で、設定する場合は、 Azure ポータル上での操作が必要となります。その際、パートナー様はお客様のテナント情報をほぼすべて閲覧できるため、お客様によってはコンプライアンス上の問題で許諾いただけない場合があるでしょう。
PAL の設定は、大まかには以下の手順で進められます。
(1) お客様とパートナー様の間でサービス契約(PAL の設定)を合意
(2) お客様がパートナー様に自社 Azure 環境へのアクセス権を付与する
アクセス権を付与する方法は以下の通りです。
<お客様側>
管理権限をもっているお客様が、 Azure ポータルからパートナー様をゲストユーザーとして招待し、お客様のテナントを操作する権限を付与する。もしくは、お客様の Azure ポータルでパートナー様用のユーザーアカウントを作成し、お客様のテナントを操作する権限を付与する。
<パートナー様側>
パートナー様が Azure Management Portal で、 MPN ID を管理権限にリンクする
上記設定を完了すると、PAL がパートナー様のサービス状況をトラッキングし、お客様とパートナーにレポートが送信されるようになります。
◇対象ソリューション
Microsoft Azure
◇測定に利用するツール
お客様が利用している Azure ポータル
◇パートナー様がアクセスできる範囲
• 役割ベースのアクセス制御 (RBAC)
• 管理下にあるリソース
• リソースの消費状況
• お客様とパートナーの組織情報
2. CPOR (Claiming Partner of Record) <パートナー様側での設定>
CPOR を使用すると、複数の MPN ID をサブスクリプションレベルで設定することができます。こちらは、パートナー様側の管理画面である「パートナー センター」で稼働するため、設定自体はパートナー様側での実施となります。
CPOR では、設定の前にお客様に対して確認すべき項目があります。確認が必要な項目は以下のページにまとまっているので、設定を進める前に確認しておきましょう。
Microsoft 365 および Dynamics 365 の要求された レコード パートナー (CPOR) モデルを使用した顧客の関連付け
CPOR の場合、お客様のサブスクリプション1つに対し、複数の MPN ID を紐付けることができます。そのため、複数パートナー様でお客様のサブスクリプションを管理される場合に適した手段となります。ただし、記載の必要な顧客情報が多数あるため、お客様に情報をヒアリングする工数がある程度発生する点は認識しておきましょう。
大まかには以下の手順で進められます。
(1) パートナー センターから「CPOR機能」にアクセス
(2) サブスクリプションやワークロードレベルで CPOR の紐づけ請求を作成
(3) 各インセンティブの請求に対し必要なPOEを提示
◇対象ソリューション
Microsoft 365
Microsoft Dynamics 365
◇測定に利用するツール
パートナー センター
3. DPOR (Digital Partner of Record) <お客様側での設定>
Microsoft Azure 、 Microsoft 365 、 Microsoft Dynamics 365 、どのソリューションでも適用が可能で、パートナー様の MPN ID を各サブスクリプションに設定することがお客様側で実施することができます。
DPOR では、1つのサブスクリプションに対し、複数の MPN ID を設定する事ができません。そのため、複数のパートナー様が同一のクラウドプロジェクトに参画する場合は、別の設定方法の利用をおすすめします。
また、パートナー センターでの設定ができないため、お客様側で設定いただく必要がある点も留意しておきましょう。
まずは、お客様側で1サブスクリプションにつきパートナー様1社を指定します。設定方法はMicrosoft Azure と、 Microsoft 365 / Microsoft Dynamics 365 で異なります。
大まかには以下の手順で進められます。
<Microsoft Azure の場合>
(1) お客様の Azure ポータル にアクセス
(2) 設定したいサブスクリプションを選択
(3) 「パートナー管理」の項目からMPN ID によってパートナーを紐づけ
◇測定に利用するツール
Azure ポータル
<Microsoft 365 / Microsoft Dynamics 365 の場合>
(1) Microsoft 365 の管理センターにアクセス
(2) 設定したいサブスクリプションを選択
(3) 「パートナー情報」の項目に、サブスクリプションに追加したい MPN ID を入力
※ MPN ID は拠点毎に付与される ロケーション ID を入力
◇測定に利用するツール
365 管理センター
特典は、 DPOR 設定が完了し、かつワークロードが consumption / usage に表示されてから獲得要件の対象となります。 DPOR の設定が取り消された場合、特典獲得の要件から外れてしまいますのでご注意ください。
クラウド消費の計測実装サポート事例
実際にクラウド消費計測の設定を行い、成果につながった事例をご紹介します。
シルバーコンピテンシーを取得されていたましたが、まだクラウド消費計測の設定が未完了のパートナー様からCEDに問い合わせをいただきました。状況をヒアリングしたうえでDPORの設定を推奨し、マイクロソフトからサポートしながら実装を完了。その後、短期間でAzureの消費量が上昇し、ゴールドコンピテンシーを取得していただくことができました。
※MPNに参加している方であれば、誰でも無料で参加できる「クラウド イネーブルメントデスク (CED) プログラム」の詳細はコチラから
MPNメンバーシップの特典を活用し、ビジネスチャンスの拡大を
MPN は、パートナー様の貢献度が高いほど、利用できる特典が増えていく設計となっています。例えば「コンピテンシー」を取得すると、マイクロソフトとのパートナーシップの強化によって顧客リーチの拡大を行うことなどが可能になります。 コンピテンシー 取得のための要件(※)には所定のクラウド消費が含まれているため、今回の設定を欠かさずに実施いただくことが重要になります。
コンピテンシー の詳細を知りたい方はコチラ
もし、お客様のクラウド消費とパートナー様の成果を紐付けていなかった場合、 MPN 特典を獲得できる機会を損失してしまうことになります。
マイクロソフトとしては、ご用意している特典をパートナー様に最大限活用いただきたいという想いがあります。MPN に加入しているメリットを最大化するためにも、ぜひ設定がお済みでない方は実施していただけると幸いです。
具体的な手順についてお問い合わせされたい場合は、以下にご連絡ください。
【クラウド消費の測定方法についてのお問い合わせ先】
オンラインリクエストを立ち上げてのお問い合わせが可能です。
設定方法がわからない、どの設定方法が最適か知りたいパートナー様はCEDのスペシャリストが対応いたします。