自治体のデジタル トランスフォーメーションを加速し、直面している課題解決に貢献したい。このような想いから、2018 年 6 月にスタートしたのが「Cloud PARK」です。既に誕生から 1 年が経過し、参加パートナーも増えています。それでは各参加パートナーは、どのような想いから参加を決断し、その後どのような成果を得ているのでしょうか。そして将来への期待は。Cloud PARK を主催する京都電子計算株式会社 (以下、KIP) と、参加パートナー 5 社の担当者にお集まりいただき、お話をお聞きしました。

参加企業:京都電子計算株式会社 (KIP)、株式会社 YSK e-com、ウイングアーク1st株式会社、株式会社エーアイスクエア、株式会社 Cogent Labs、株式会社 ゴビ

参加企業の皆様
※お断り:株式会社 YSK e-com、株式会社 ゴビの皆様は、遠隔地からの参加のため、写真には写っていません。

Cloud PARKの概要と企画背景について

──KIP は、2018 年6 月に「Cloud PARK」を発表、そのプラットフォームを Microsoft Azure 上で展開しています。2019 年5 月に公開されたマイクロソフトの業界別ブログでは、このCloud PARK 上で提供されている「AI  手書き文字認識サービス」が、リリースからわずか3  か月で自治体からの100 近い商談を受け、18 団体に導入されたとありました。なかなか好調な滑り出しを見せているようですが、まずはこのCloud PARK とはどのようなものか、簡単に説明いただけますか。

京都電子計算株式会社 (KIP)
常務執行役員
事業企画担当 企画室長
村上 敦 氏

村上 Cloud PARK は、クラウド事業で必要なスピード感とリスク チャレンジをシェアリング ビジネスで実現し、クラウド環境下での新たなエコ システムを創造していこうという取り組みです。Cloud PARK の PARK は、人々が集まる公共の場という意味であると共に、パートナー (P)、アライアンス (A)、リレーション (R)、編み出す (K:Knitted) の頭文字を組み合わせたものでもあります。現在のメイン事業は、Azure 上でプラットフォームを構築し、その上でパートナー様のソリューションやテクノロジーを提供するというものです。ソリューションの提供対象としては一般企業も視野に入っていますが、現在最も重視しているのは自治体様です。

── 自治体における ICT 活用を、クラウドを介した支援によって加速していくことが、重要な目的の 1 つだということですね。

村上 そのとおりです。自治体様は今後、「世界最先端 IT 国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」や「デジタル・ガバメント推進方針」で示されるように、IT 技術を積極的に利活用することでデジタル トランスフォーメーションを起こし、さまざまな課題を解決していかなければなりません。しかし実際には、目まぐるしい技術進化やセキュリティへの対応が難しく、業務の標準化も未整備であることから、なかなか手がまわらないという状況です。また、デジタル トランスフォーメーションの推進を何から始めるべきかわからない、といった声もあります。その一方で、自治体のデジタル トランスフォーメーションを支援する立場である SIer もリソース不足に悩まされており、最新技術へのスピーディな対応や万全のサポート体制の準備に、十分な投資を行うことが難しい状況になっています。さらに、AI や IoT、RPA といった最新技術を持つベンダーの多くは、自治体に対するチャネルを持っていません。このようなジレンマを解決するには、個々の自治体様や SIer が個別に対応するだけでは限界があります。SIer とベンダーが結集できる場を作り、双方の強みを生かすことで課題解決に貢献したい。このような想いから企画されたのが、Cloud PARK なのです。

──そのプラットフォームの最大の特長はどこにありますか。

京都電子計算株式会社 (KIP)
企画部 部長
竹内 有一 氏

竹内 LGWAN (総合行政ネットワーク) に対応している点です。そのため高いセキュリティ確保が求められる自治体様でも、クラウド上の各種サービスが利用可能になっています。これなら自治体向け事業を展開する SIer 様にとっても、提案しやすいはずです。またソリューションを開発および提供するベンダーにとっては、自社のソリューションを Cloud PARK に登録することで、新たなチャネルを手に入れることができます。ベンチャー企業にとっては LGWAN への接続を 1 社で行うことはコスト的に困難ですが、Cloud PARK のアプリケーション登録事業者になることで、この問題も解決します。さらに、アプリケーション全体ではなく、一部機能モジュールを登録して API として提供することも可能です。このように Cloud PARK は、自治体にチャネルを持つ SIer、アプリケーション ベンダー、尖った先端技術を持つベンチャーが、それぞれの強みを発揮できるようになっています。

──3 種類のパートナーが参加できるというわけですね。現時点では、何社のパートナーが参加していますか。

村上 ソリューションやテクノロジーを提供するベンダーが 9 社、それらを販売するパートナーは 30 社以上に上っています。

パートナー各社の事業概要と Cloud PARK 参加の経緯

── 今回はその中から、5 社のパートナーにもお集まりいただきました。ここで各社の自己紹介と、参加に至る経緯についてお聞きしたいと思います。

安達 当社 (株式会社 YSK e-com) は、主に山梨県で自治体様向けのシステム開発等を手がけるほか、お客さまの業務代行も行っています。Cloud PARK へのお誘いをいただいたのは 2018 年 6 月ですが、このようなプラットフォームがあれば最新ソリューションを活用しやすくなると考え、SIer として参加することにしました。自治体様の業務効率化を実現するうえで、いま最も期待しているのは RPA です。自社でも RPA のシナリオを作成し、代行業務の効率化などを行っています。

石井 当社 (ウイングアーク1st株式会社) は、KIP の住民情報システム「COKAS-R/ADⅡ」という製品に帳票ツールを OEM 提供しており、既に 10 年以上のお付き合いがあります。この中で、KIP の村上 様が中心となって新たなクラウド ビジネスを始めるというお話を聞き、ぜひ一緒にやろうという話になりました。

松本 具体的な話をいただいたのは 2019 年 1 月でした。この時点で YSK e-com 様など強力なパートナーが参加しており、このようなパートナーを経由して自社製品を販売できることに、大きな魅力を感じました。お話をいただいてすぐに、本格参加を始めています。

宮尾 まだオンプレミス志向が強い自治体様が、クラウド プラットフォーム上にある新たなシステムやサービスを容易に利用できる Cloud PARK のコンセプトは素晴らしいものだと感じています。

松本 BI ダッシュボードの「MotionBoard」を Cloud PARK に提供し、テスト マーケティングを始めました。こちらの製品からスタートし、今後は帳票出力「SVF」、文書活用「SPA」、データ集計「Dr.Sum」と提供製品を拡大していく計画です。またアプリケーションとしてだけではなく、機能モジュールを API として提供することも検討しています。

石田 当社 (株式会社エーアイスクエア) は、AI 技術による言語処理を得意としており、会議議事録の要約エンジンなどを提供しています。

金澤 Cloud PARK は 2018 年 10 月にマイクロソフトの紹介で知り、参加することにしました。最大の魅力は LGWAN が利用できることです。このようなクラウド プラットフォームは他にありません。当社のようにリソースが限られる企業にとって、このようなプラットフォームに参加することには大きなメリットがあります。具体的な製品提供はまだこれからですが、近いうちに議事録要約エンジンを API として利用できるようにしたいと考えています。

岩瀬 当社 (株式会社 Cogent Labs) が、Cloud PARK に参加したのは 2018 年 10 月です。参加を決めた最大の理由は、Cloud PARK であれば LGWAN が利用可能になるうえ、自治体に強いパートナー経由で “Go to Market” しやすくなると考えたからです。当社は AI OCR 「Tegaki」を運営していますが、これを自治体様に提供するには、入札資格や自治体業務の知識が必要になります。これはベンチャー企業にとって大きな負担となりますが、Cloud PARK に参加することでこれを解決できます。現在は AI OCR のエンジンを API として提供しており、KIP が UI を構築したソリューションも提供されています。

田崎 当社 (株式会社 ゴビ) は京都を拠点に、システム開発等を行っている企業です。Cloud PARK に参加したのは 2019 年 4 月。他社が提供しているサービスと連携することでデジタル トランスフォーメーションを実現し、これまで訴求できていなかった自治体向けの市場に参入することをねらっています。

── 皆様、ありがとうございました。それでは次に、実際に Cloud PARK に参加してみて、どのようなメリットや効果があったのか、そしてそれをどのように評価しているかについて、後編で詳しくお教えください。

(後編に続く)