皆様は「ネット炎上」の実態をご存知でしょうか?ソーシャルメディアがインフラ化し発信者の属性や価値観が多様化したことにより、リスクも同様に多様化しています。どんな企業であっても情報漏洩や人材採用の側面も含め、デジタルリスクへの危機に晒されています。その領域に特化したサービスを提供する株式会社エルテス (以下、エルテス) の「Webリスクモニタリング」にはどのような特長があり、どのような効果が実現されているのでしょうか。同社のソーシャルリスク事業部の堀ノ内 祐貴 氏にお話を伺いました。

株式会社エルテス

第 6 ソリューションプランニンググループ

堀ノ内 祐貴 氏

 

エルテスの概要について

―― 会社の概要についてお教えください。

堀ノ内 堀ノ内 エルテスは、代表取締役の菅原が東京大学在学中の2004 年に創業した会社です。創業してから数々のビジネスを立ち上げ、試行錯誤を繰り返してきましたが、インターネット上の検索エンジンが普及したことをきっかけに口コミサイトのネガティブな情報が、企業にとって不利益になるという点に着目し、そこからビジネスチャンスを見出したのです。そこで検索エンジン評判対策を開発し事業の軸として展開いたしました。その後はTwitter を皮切りに浸透を始めた、各種 SNS に投稿されるネガティブ情報によって生じるリスクにも注目し、企業のデジタルリスクに特化したサービスを提供することでした。言い換えれば、全般的な SNS のメリットの裏側にある潜在的なリスクにいち早く注目したことになります。具体的に言うと、エルテスのサービスでは、インターネット上に潜む「炎上」の予兆を迅速に検出し、ネット上の風評被害の予防と対策を講じています。そのような意味では、エルテスは、炎上を防止するセキュリティ警備サービスを提供していると考えていただければ理解し易いかと思います。お陰様で、エルテスは 2016 年に東京証券取引所マザーズに上場し、東京の霞が関本社と大阪でオフィスを開設しています。現在では行政機関に関連する案件についてもご相談いただいています。

―― 提供サービスの特長は?

堀ノ内 当社の「Web リスク モニタリング サービス」の最大の特長は、取得した全ての投稿を「AI」 と「人の目」でチェックしていることです。人の目でリスクを監視しているという点は、同種のサービスと一線を画する大きな優位性です。AI だけでなく人の目も使う理由の一つに日本語の特性上、文脈によって単語の意味が変化する点が上げられます。たとえば、若者の投稿に見られる「ヤバい」という表現が、ポジティブな意味なのか、ネガティブな意味なのかは、その前後の文脈を確認しなければ正確に判断することが困難です。そのような微妙なニュアンスを嗅ぎ分けることのできる専任のスタッフが 24時間365日 の体制でインターネット上の潜在的なリスクを監視しています。一口にSNSと言っても様々な種類があり、Twitterや5ちゃんねるをはじめ、口コミサイトや転職サイトの情報監視にも対応しています。危険と思われる投稿が検出されると、直ちに社内外の担当者に緊急通知が行われて必要な対策が講じられます。また、個々のクライアントには専属のコンサルタントがアサインされており、各社に最適化されたリスクアセスメントから初動対応コンサルティングまで一貫したサービスを提供しています。

 

皆様はネット炎上と聞くと異物混入や接客クレームをイメージするのではないでしょうか。確かにマスメディアに取り上げられるような大炎上の多くはそれらが炎上の火種となるケースもあります。しかし弊社のデータによるとネット炎上の年間件数は2015年を境に1000件を超えており、これはデイリーに直すと3回程度起きていることとなります。つまり皆様の知らないところで日々炎上は起きており、それ相応のダメージを企業は受けており、同時に対応にも迫られております。

近年の炎上の傾向を見ると、プロモーション活動における不適切表現やパワハラ問題などが挙げられます。前者に関しては一般ユーザーの発信力の高まりと価値観の多様化が要因のように思われます。ある広告動画では男性が見ると感動すら覚える動画にも関わらず、女性が不快に感じ、結果炎上となった事件もありました。つまり近年は誰が見ても「悪」ではなくても炎上する可能性があります。さらに後者の多くは内部告発が原因です。人材が流動的となった近年多くの企業が採用面で苦慮している現状があります。この中で労務面での風評が一度立てば雪だるま式に独り歩きし、企業のレピュテーションに多大な悪影響を及ぼします。

これまでお話したことからも分かるようにソーシャルリスクマネジメントは今やB2Cの企業のみの問題ではありません。

―― 導入によってどのような効果が生まれているのですか?

堀ノ内 Web リスクモニタリングを始めとする弊社のサービスは、大手企業を始めとして多くのクライアントに導入いただいています。炎上の予防と対策という点は基本的に一貫していて、リスクマネジメントに特化した第三者 (エルテス) が個々のクライアントのリスク対策を客観的に分析して、その予防から対策までの包括的なサービスを提供しているという点が評価されていると思います。先にお話ししたように、炎上のリスク要素は、内部、外部、対象となるユーザー層、広告の内容やその反応など、非常に多岐にわたる上に、対象となる範囲が企業や部署ごとに異なるので、該当する要素を多角的かつ客観的に把握する必要があります。しかし、当事者である企業側ではそういう経験値やデータが少ないので正確な判断や対処を行うことは非常に困難です。

 

また、金融系に代表されるように、顧客のプライバシーや機密保持を重要視するクライアントでは、内部や外部の人間が SNS に有名人の来店情報を投稿した場合などに生じる可能性のある情報漏洩も考慮する必要がありますし、従業員が何気なくアップした写真に顧客情報が映り込んでいたなどのケースにも対策を講じる必要があります。

―― 炎上を予知・防止することは非常に難しいと思いますが。

堀ノ内 一般的に炎上の火種は、深夜や連休中といった一般企業の業務時間外に発生します。この理由は、このような時間帯や期間に投稿数が増大するからです。結果として、リスク対策が内製化されている企業の場合は、対応が後手に回ったり実質的に「時すでに遅し」になったりして被害が拡大するケースがほとんどです。一方、エルテスのサービスでは、専任のモニタリング スタッフが 24 時間体制でクライアント視点での監視を行っているので、情報が拡散する前にリスク性の高い投稿に気づくことが可能です。万が一、炎上が発生した場合でも、専任のコンサルタントがアドバイスを行って鎮静化を図るので、クライアントからは安心して任せておけるサービスと評価していただいています。SNS での炎上対策を考えた場合、B2C の企業は多少の認識なり経験がありますが、B2B の企業は、そのような経験やナレッジがほとんどないので、万一の場合にコンサルティングがなければ風評被害が急速に拡大することが懸念されます。

「人の目」で培ったナレッジと機械学習による判断

―― マイクロソフトとの取り組みについて聞かせてください。

堀ノ内 テクノロジーの観点からお話しすると、Web リスク モニタリングではAzure Machine Learningを使っていて、これまでエルテスが「人の目」を使ったネット監視や SNS 分析で蓄積してきた膨大なデータをもとに機械学習を使ってネット炎上の要素の分析に活用しています。膨大なデータの中からリスクを予測し、高い精度で判定ができるため人件費が大幅に削減されます。結果として、より付加価値の高い作業に人的資源を割り当てて生産性を向上させることが可能になっています。

 

その他の取り組みとしては、マイクロソフトと共同で多くのセミナーを開催していいます。このようなセミナーで、最近の炎上事例とその対策や処置を説明することで、参加していいただいた多くの企業様に好評をいただいています。また、日本マイクロソフト 最大規模のパートナー様イベント、Japan Partner Conference 2018では、代表取締役の菅原がお客様と共に基調講演を行ったり、IT プロフェッショナルの皆様を対象にするイベント、Tech Summit 2018 のセッションで事例を紹介したりしています。このようなマイクロソフトとの共催セミナーは、日本国内の各地で月に 1 ~ 2 回程度の頻度で開催していますので、ご興味がある方は、ぜひご参加いただければと思います。

 

 

―― 最後にマイクロソフト パートナーへのメッセージをお願いします。

堀ノ内 

これまでお伝えした通り、弊社ではWeb上におけるビジネスリスク対策に特化したサービスを提供している企業です。「ネット炎上」に代表されるようなデジタルリスクはまだまだ認知度が高くありません。その為、先程お話したセミナーなどを通じて今他社で起きている炎上事件が自社でも起きる可能性があることを知っていただく必要があります。つまりソーシャルリスクを自分事化していただくことが最も重要なポイントだと強く感じています。

一般企業においてもソーシャルメディアの活用が必要不可欠になった現代だからこそ今までにない新たなリスクが出現していることを読者の皆様に気づいていただく契機となれば幸いです。

もちろんSNSには悪い側面ばかりではありません。SNS上にある情報を有効活用する為に弊社のリスクモニタリングをご活用いただくケースも増えてきております。一般的にソーシャルリスニングと言われており、無数にある情報から自社に関係する投稿を抽出することでマーケティング活動に活かす取り組みになります。

これほどまでにインフラ化したソーシャルメディアには、まだまだ企業が活用できる可能性が秘められていると感じています。今後もデジタルリスクを中心に多くの企業のパートナーとして社会に貢献していくため、日々精進していきたいと思います。

 

株式会社エルテス

 

「デジタルリスクテクノロジーを通して、リスクを解決する社会インフラを創出する」をビジョンとして掲げるリスク マネジメント IT ベンチャー。民間企業だけでなく、政府機関からも注目され、ネット炎上や情報漏えい等を網羅する Web モニタリング サービスを幅広く提供しています。また、2016 年にソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関としてデジタルリスク総研を社内に設立し、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究成果を社会に還元しています。