2018 年 12 月 13 日 (木)、東京 品川 日本マイクロソフト

Microsoft SQL Server 2008 および SQL Server 2008 R2 は、2019 7 9 日以降サポートされなくなります。このタイム リミットに向け、現行ユーザーの皆様にはどのような選択肢や対応が可能なのでしょうか。「SQL Server 2008 EOS 1 Day セミナー」では、SQL Server の導入に豊富な実績を持つ日本マイクロソフトのパートナーから、バージョンアップの成功ポイントや、各社のバージョンアップ対応サービスが紹介されました。

最新技術のメリットを享受するためにも SQL Server 全体のアップグレードを

セミナー冒頭では、「SQL Server 2008 EOS に対する Microsoft の取り組み」と題して日本マイクロソフト株式会社 クラウド&エンタープライズビジネス本部 データ&AI プラットフォームマーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 岡本 剛和が登壇。現在約 10 万台が現役で稼働中の SQL Server 2008 および SQL Server 2008 R2 を、今後に向けどうアップデートしていくかが今日のおもなテーマだと語りました。

では実際にサポートが終了すると、どんな問題が起こるのでしょうか。具体的には、(1) セキュリティ更新プログラムが提供されなくなる (2) 主要な業界の標準や規制に準拠できず、コンプライアンス上の懸念が生じる (3) 従来に比べてソフト/ハード全面にわたってメンテナンス コストが一気に高くなる といった問題が予想されます。

この場合、ありがちな対応として現行の業務システムを更改するのは問題が多いため、周辺系の対応で使い続けようとするケースが見られます。しかしパッチなどを使っても、とても十分な対応は不可能ですし、周辺対策のための新たなシステムが追加になる分、運用のコストもさらに膨らんでいきます。

「そうしたデメリットを防ぎ、最新技術のメリットを享受いただくためにも、日本マイクロソフトとしては SQL Server そのもののアップグレードを強く推奨しています」 (岡本)

またアップグレードにあたっては、データ ドリブンな経営戦略の促進という観点からも、SQL Server 本体だけでなく、データ プラットフォームを含めた最新化が効果的であるのは言うまでもありません。そのために日本マイクロソフトでは、データ & AI プラットフォームと呼ばれる、オンプレミスからクラウド活用まで、お客様のニーズや利用形態に最適な選択肢を用意しています。

 

お客様のニーズや利用形態に応じて、最適なデータ活用の基盤が選択可能

 

特にクラウドを活用すれば、Microsoft Azure Data Services を利用したインテリジェントなアプリケーション開発が容易に行え、SQL Server と組み合わせた多彩な Web サービス、AI ソリューションの展開が迅速に実現できるようになると岡本は語りました。

続いては、日本マイクロソフト株式会社 パートナー技術統括本部 クラウドソリューションアーキテクト 西村 栄次が、2019 年にリリース予定で、このセミナーの時点ではすでに評価版 (RC2) が展開中の「SQL Server 2019」のあらましを紹介。ビッグ データのサポート機能や革新的なセキュリティ、高度な分析機能と意思決定のための多彩なツールなど、総合データプラットフォームとしてのパフォーマンスをより高めている点を訴求しました。

とりわけ注目したいのは、「ビッグ データのサポート機能」である Big Data Cluster です。SQL Server 2019 では従来の PolyBase の機能が拡張・強化され、外部のデータ ソースからよりスムーズにビッグ データを取り込めるようになりました。この結果、SQL Server 以外のデータベース エンジンから Transact-SQL または Spark を使ってビッグ データの抽出、処理、結合および分析までをシームレスに実現。データ仮想化エクスペリエンス全体のクォリティが大きく向上し、Hadoop / Spark Big Data システムと、より高速で安全な双方向の統合を可能にします。

SQL Server 2019 は、より多様なデータのハンドリングからマルチプラットフォーム/言語対応、業界最高レベルのパフォーマンス、セキュリティ性能、そして豊富なデータ分析・レポート機能までを実現

ビッグ データ活用から AI プラットフォームまで、最新のデータ テクノロジーを網羅する機能を提供

 

 

 

Session 1

SQL Server BI 機能を中心にさまざまなソリューションを提案

株式会社ジール マネージャー 加藤 隆児 氏

株式会社ジール (以下、ジール) 25 年以上にわたり、国内唯一の BI/DWH 専業ベンダーとして、900 社を超える導入実績を持ち、AI/BI/CPM (業績管理) の国内外の主要なベンダーとも緊密な連携関係を築いています。

 

今回のセッションではビッグ データ時代に対応するためのデータベース エンジンを始め、BI、データ活用を中心に SQL Server の最新機能を紹介。「SQL Server は、データ活用に必要なコンポーネントを 1 パッケージで提供する オールイン ワン プラットフォーム」と位置付けたうえで、RDBMS BI プラットフォーム、エンタープライズ ETL ツール、Web レポートなどを組み合わせたデータ活用進化のステップを提唱します。

 

「さまざまなデータソースからデータを集約した DWH を構築して分析レポートを提供する 定型分析や、ユーザーの作成したデータ モデルを DB サーバーに配置して、大量データを効率的に管理および活用する アドホック分析、さらに セルフ サービス BI” といったステップを経ながら、自社のビジネス全体を網羅する BI プラットフォームを構築することが SQL Server ならば可能です」。

 

こうした BI プラットフォームを始め、ジールではお客様に最適な形でさまざまな情報活用のソリューション導入からトレーニングまでをご用意しており、データ活用ならどんなことでもぜひ相談して欲しいと加藤 氏は呼びかけました。

あらゆる業務ニーズに応じた分析機能を提供するジールの BI プラットフォーム

 

 

Session 2

SQL Server ならではの手法で 1TB 超の DB 移行を 30 分で完了

株式会社システムエグゼ マルチDBソリューション部 課長 川本 貴大 氏

「データ移行事例から見る SQL Server バージョンアップのススメ」と題して登壇した川本 氏は、SQL Server 2017 へバージョンアップするメリットの中でも、「パフォーマンスの向上」、「セキュリティの向上」、「運用性の向上」の 3 つを挙げます。

 

またバージョンアップ作業に関しては、データベースの互換性を検証するツールである「Data Migration Assistant (DMA)」や、アップグレードによりパフォーマンスに差異があるかどうかを分析することができるツール「Database Experimentation Assistant (DEA)」などがマイクロソフトから提供されており、精度の高い移行を容易に実現できる点も、SQL Server の大きなメリットだと評価します。

 

本セッションでは、さまざまな構成や用途のシステムにおける移行事例が紹介されました。それらの事例を通じて株式会社システムエグゼでは、移行による影響の入念な事前アセスメントを実施。また業務にインパクトの少ない移行を実現するために、SQL Server ならではの特性を活かした手法を提案するなどの工夫を凝らした点を、川本 氏は紹介します。

 

「ある事例では、停止時間を極力短くすることを第一目的に、フル バックアップしておいたデータを初期移行データとして前もって移し、本番の移行ではその後の差分のみを適用。その結果、1 TB 超のデータベース移行を、アプリケーション動作確認時間も含めてわずか 30 分のシステム停止のみで完了することができました」。

 

データベース移行支援サービスに関しては、現行調査やアセスメントから移行計画の立案、移行作業までトータルに提案することで、より最適なシステムを構築できると川本 氏はアピールします。

システム エグゼでは、業務へのインパクトが少なく高品質なデータベース移行サービスを提供

 

 

 

Session 3

レプリケーションサービス/ソフトで前向きな最新バージョンへの移行を

株式会社インサイトテクノロジー プロダクトコンサルティング部 中川 裕貴 氏

SQL Server バージョンアップの勘所」と題して登壇した中川 氏は、今回はバージョンアップにおける懸念点の中から、「機能の変化および性能への影響」について語ります。バージョンアップでは、多くの場合、機能に関するトラブルが起こりがちです。これまであった機能が廃止または非推奨になったのを継続して使っていると、さまざまな問題が生じがちです。

 

中川 氏は、「データベースのバージョンアップでは、バージョンアップ方法そのものや移行すべきデータベースおよびデータの見極めなどさまざまな検討要因があり、移行単位やタイミングなどを詳細に検討していかなくてはなりません。この難易度の高い作業をより簡単にかつ高精度で実現できるのが、レプリケーション サービス/ソフトウェアです」と語ります。

 

現在利用可能なサービスとしては、マイクロソフトの「Azure Database Migration Service」があり、一方ソフトウェアでは、株式会社インサイトテクノロジーから「Attunity Replicate」が提供されています。この Attunity Replicate はデータベース、DWHHadoop などの異なるソースまたはターゲット間で、高速で簡単なリアルタイム データ レプリケーションを可能にするするツールだと中川 氏は紹介します。

 

「バージョンアップでは、移行による影響や変化を懸念するのは当然ですが、それらにあらかじめ予測かつ対応することで、最新の機能やメリットを享受できるというプラスの面により注目いただきたいと思います。そのために、私たちが提供しているツールをぜひ活用して、SQL Server 2017 へのバージョンアップを前向きにご検討ください」 (中川 氏)

インサイトテクノロジーの「Attunity Replicate」が、高速・高安定でセキュアなバージョンアップを支援

 

 

 

 

Session 4

将来的な DX への活用を視野に BI マイグレーションの重要性を訴求

株式会社システムコンサルタント オープンシステム統括部

主席技師 小田島 雅智 氏/スーパーネット部 主任 足立 大樹 氏

DX の実現は、企業にとって今や重要課題の 1 つとなっています。株式会社システムコンサルタントでは、半世紀近い歴史を通じてあらゆるデータベースの経験と実績を積み重ね、DX を目指した移行においても作業の全領域をカバーするサービスを提供していると小田島 氏は語ります。

 

「デジタル トランス フォーメーションに向けたデータ基盤への移行」というテーマについて、小田島 氏は「DX に向けたデータベース移行では、(1) データベース構成の検討 (2) スキーマ オブジェクトの移行 (3) データの移行 (4) アプリケーションの移行、の 4 つが重要ポイントです。またこれらの作業を問題なく進めるうえでは、SQL Server のエディションの確認やバージョンごとの互換性レベルにも注意する必要があります」と指摘します。

 

こうしたデータベース移行事例から、今回のセッションでは「データ基盤の移行に伴う BI マイグレーション サービス」が紹介されました。従来の BI はシステムの設計から分析の切り口の変更、データ追加などがすべてシステム部門に依存しており、「欲しいデータにすぐにアクセスするための時間やコストがかかる」という課題を抱えていました。

これに対して足立 氏は、「今後 BI 活用においてエンド ユーザーの役割はますます増えていきます。このためデータベース移行の際にも、単なるシステム移行ではなく、DWH やデータマート側の再構築も含んだ検討を行い、将来的にエンド ユーザー主体のデータ活用を実現できる BI ツールの導入が必須となります」と指摘。さらに同社が提供する「Excellent WebQuery FreeWay」などの BI ツールおよびサービスを紹介し、改めて DX を視野に入れた BI マイグレーションの重要性を訴えました。

 

 

 

 

システムコンサルタントでは、DX の実現に有効かつユーザー オリエンテッドな BI マイグレーションを提唱

 

 

 

Session 5

クラウド移行の最善の選択肢となる Azure SQL Database Managed Instance

株式会社システムサポート エンジニア 伊東 克也 氏

SQL Server 2008 EOS 直前! まだ、間に合う SQL Server 移行 (クラウド編) !」と題して登壇した伊東 氏は、SQL Server のクラウド利用、すなわち Azure SQL Database での運用は、これまでのオンプレミスでは不可能だった、さまざまな運用負荷の軽減を可能にしてくれると語ります。

 

「わずかの作業で SQL Server を起動できるだけでなく、オンライン バックアップやパッチの適用などの自動化、冗長化やスケールアップなどの設定も数クリックで実現できるなど、運用の手軽さはこれまででは考えられないほどです」。

 

とはいえ、SQL Server でできていたことが、Azure SQL Database にするとできなくなってしまうことがあり、その問題を解決したのが、Azure SQL Database Managed Instance です。これは SQL Server の提供するほぼすべての機能を提供するフル マネージド サービスで、Azure SQL Database と同様に、PaaS の特性を生かしながら、SQL Server のほぼすべての機能を活用することができ、クラウドへ移行する際には最善の移行先といえます。

 

こうしたクラウドへの SQL Server 移行環境が十分に成熟していることを説明したうえで、伊東 氏は株式会社システムサポートの「Database on Azure 移行サービス」を紹介。同社の持つクラウド移行に関する数多くの実績とノウハウを基に、それぞれのユーザーのニーズに応じたさまざまな課題に対応できると訴求します。

 

「移行アセスメント、移行検証 (PoC)、本番移行作業の 3 つのタスクで構成されるサービスです。お客様の環境により部分的もしくは全面的な実施に加え、状況に応じてデータベースだけでなく、アプリケーションの移行も含めた支援をご提供可能です」。

システムサポートの Database on Azure 移行サービスは、クラウド移行に伴う煩雑な作業を自動化

 

 

以上、日本マイクロソフトおよびパートナー 5 社による丸 1 日がかりのセミナーでしたが、満席の出席者はそれぞれのセッションに熱心に耳を傾け、SQL Server 2008 ユーザーがバージョンアップに向けて熱心に取り組んでいることを感じさせる催しとなりました。

 

なお、このセミナーは、今後も日本マイクロソフトのパートナーとの共催で、定期的に開催が予定されています。すでに 2019 1 月、2 月、3 月の最終水曜日 (1 30 日、2 27 日、3 27 ) の開催が決定。SQL Server 2008 および SQL Server 2008 R2 ユーザーの皆様は、ぜひお気軽にお問い合わせ・ご参加ください。